ドボンザボン写真展

“われらの世界・水中” part.17


まずは口上を申し上げ奉りまする

いずれも様にはご機嫌うるわしき態を拝し恐悦至極に存じます。
また、かくもにぎにぎしく御見物を賜りまして、
厚く御礼を申し上げる次第にござります。
 花のお江戸からほど遠い西伊豆の浜辺に海好き写真好きな妖怪どもが結集いたしました。「われこそ水中の不思議を撮影するなり」両面スキンのウェットスーツに身を包み、背にはリザーブバルブ付きのダブルタンク、右手にフラッシュガンを装着した初代ニコノスを掲げるその姿は遠目にオオクロアリの群れと見まごうばかりであったとか。1975年夏、水中写真家集団ドボンザボンのはじまりにございます。
 II型 III型 V型 RS、SEKONIC、中間リング・・EPR KM KR PKR・・時は移り、人の世はデジタル全盛、ハイテク機器が溢れる21世紀となりましたが、、、、
私どもは、苔生した甲羅と二股の尻尾をカラフルなスーツに押し込み、付喪神になりかけの銀塩カメラにRVP50を入れ、密やかに海中を彷徨いております。
かすむ目を眇め
曲がった腰をさらに折り
撮り貯めましたる作品の数々
おどろに綺しい妖気笑気に誘われて
網にたゆたう金銀砂子
何を思案のスズキ大哥
貝の夢海月の舞
百鬼夜行の奇輝魁快
冷酒に滲む海の青
異界のきらめきに酔いしれていただければ幸いと存じます。

2010年 盛夏